最後のニホンオオカミ

死に至る道

青年ニオが綴る、とある決意までの物語。 ※このブログはフィクションです※

あと364日

 4月1日 天気……天晴れ、な感じの晴れ

 

 初めまして。ニオです。

 突然ですが、皆さんは桜を見たことがありますか?

 おそらく、多くの人がある、と答えると思います。桜は見ているだけで、なんだか心躍るように感じます。なぜかと言われても、わかりませんが。

 季節の移り変わりは早いもので、もう桜が咲くか咲かないか、そんな時期になってしまいました。蕾は既に十分大きくなり、一部はもうその美しい薄紅の衣を見せつつあります。心なしか、花に先駆けて、虫たちも空を駆け回り始めているようにも思えます。緑は見えないし、花もまばらなのに、それでも虫たちは生きるために活動を始める。春が来たんだな、そんな思いにさせられます。

 春といえば、別れと出会いの季節です。卒業式があったと思えば入学式がある。退職する人もいれば、就職する人も。そして、別れと出会いには、環境の変化がつきものです。みんな移ろいに戸惑いつつも、必死に努力する。

 何もかも変わってしまう人もいるでしょう。幸運に恵まれた人も、どん底に立たされる人も。どんな人も、生き抜くために、川の流れに合わせるかの如く、必死になって流される。考える間もなく、ただ、移ろいのままに。

 そして、どんな人にも、春は平等に訪れる。陽気で、明るく、心躍る春は、どんな人にも。

 

 僕にも、もちろん春は訪れています。今年の春は、とりわけ楽しみです。もしかしたら、桜の晴れ姿を見るのは、今年が最後になるかもしれませんから。何故って?

 僕は来年の今、この世にいないのです。自分で自分の魂を、解放してやるのです。

 ああ、今日はその決意にふさわしい日でした。雲一つなく、青い空がどこまでも広がっています。太陽が優しく僕を照らし、もう春であることを疑う余地もありません。本当に、今日の空は、僕の心と同じくらいに、晴れ晴れとしていました。もう何も恐れることはない、そういう天気でした。

 

 決行は、来年の3月31日。あと364日。それまで、束の間の生命(いのち)を、精一杯謳歌します。

 皆さん、もし良ければ、最期まで、ぜひお付き合いください。

 

 それでは、またあした。